第八回 ことばの学校

日  時 平成19年8月25日
会  場 スパティオ小淵沢
参加人員 約220名

テーマ「語るチカラ」

金田一春彦ことばの学校 第八回






この年からことばの学校は大きく模様替え。
前年まで秋の刈り入れ終了後の11月に開催していたのを夏に変え、
開催日程も1日にした。
これは従来秋の観光一大イベント的な色彩が強かった催しを、
家庭的で手作りの雰囲気にして、派手さはなくても末永く続けたい。
そして参加してくださる皆さんと、真夏の清涼な八ヶ岳山麓の空気を
少しでも分かち合いたいという、金田一家族の要望によるもの。


果たしてスムーズに移行できるかどうか関係者一同気をもんだが、
ふたを開けてみると予想以上の参加人員の多さに、
うれしい悲鳴を挙げた。










■1 開校式挨拶  金田一真澄

  •  夏休み最後の土曜日に当たるこの日、これだけの人たちの参加は心強い限りです、と挨拶。文科省は今までのゆとり教育から、脱ゆとり教育をめざし、国語では語彙をふやすことを目標にしているとか。語彙量を増やせば、コミュニケーションも円滑になり、自分の思っていることを文章にすることも楽しくなる。この学校でもそうしたことを学んでほしい。

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■2 主賓挨拶 北杜市長白倉政司

  •  「週末は山梨にいます」というPRポスターがいま全国の駅に貼られている。北杜市は日照時間およびミネラルウオーターの生産量で日本一を誇る町。これに加えて文化の発信地としてことばの学校が有名になれば、北杜市のグレードアップにも役立つ、と挨拶した。

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■3 方言川柳表彰式

  •  今年のお題は「学ぶ」。例年通りの表彰式が行われた後、選者を代表して玉島よ志子先生が、お国ことばはその地方の財産でもある。方言がもつ暖かさを大事にして、いくつになっても学ぼうと言う意欲を忘れたくない、と語った。なお今回から、優秀賞の方たちには金田一春彦監修の国語辞典が賞品として渡された。

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■4 朗 読  八ヶ岳朗読サークルほがらか

  •  金田一春彦著作の中から「日本語を反省してみませんか」「わが青春の記」等を朗読。
  • 父京助の思い出、なぜ平家琵琶を学ぶようになったのか等の話を語る。
  • また遠野物語を編纂した柳田國男のエピソードを交えたユーモアあふれる話も朗読した。

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■5 平家琵琶演奏 須田誠舟

  •  平家琵琶はもともと平家一族の隆盛から滅亡にいたるまでの話を、琵琶法師がフシをつけて語り、全国を回って広めたもの。琵琶法師の譜本を見るとフシの上げ下げが分かるが、それが昔の日本語のアクセントを研究する手がかりになるのでは、と金田一春彦は考え、研究に取り組んだ。しかし研究はあっても、平家琵琶を演奏できる者はいない。そこで筑前琵琶演奏家である須田誠舟氏に声をかけ、演奏の仕方を4日間で特訓したという。当時の師匠としての金田一のエピソードを語りながら氏が平家物語の冒頭を演奏。そして次は筑前琵琶で、この年のNHKの時代劇ドラマ「風林火山」に登場しても話題になった「川中島の戦い」を勇壮な語りと共に演奏し、場内は大きな感動に包まれた。

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■6 講演 金田一秀穂

  •  この年のテーマ「語るチカラ」について講演。「語る」、つまり人間の声というものは、単に音を伝えるだけのものではない。話し手の表情とか、年齢、やさしい声か、美人かといったこまごまとした情報を含んでいる。また声に出すことで、人間は記憶することもできる。昔文字のなかった時代は、日本書紀や古事記など、口承で事実を伝えたものだ。リズミカルに何かを叩きながら声を出すことで膨大な量の記憶ができることは、アイヌのユーカラを見ても知ることができる。パソコンや携帯メールなどで、声に出して何かを伝えることが少なくなった今、もう一度語る力について考えてみたい。

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■7 修了式

  •  金田一秀穂の似顔が入った修了証書を手渡し。この後、会場を借りる時間が迫っていたために、二次会を金田一春彦記念図書館に移し、金田一家の皆さんと参加者有志が集まってにぎやかに懇談するひとときをもった。